いいところ8【完】

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「うんうん、そんなに良かったかぁ。有夏のいいところは全部知ってるもん。あ、でも……」


「なに?」


 腰を撫でまわす手がピタリと動きを止めた。


「何だろ、やっぱ久々で焦ってたかな」


「なんだよ。てか別に久々でもねぇだろ。昨日はしてねぇかなってぐらいだろ。有夏はゲームで忙しいんだ」


 有夏の訝し気な声など幾ヶ瀬は聞いちゃいないようで。


 しまった、なんて呟いている。


「俺としたことが。有夏のこっちのいいところ、ちっとも触ってあげなかったな……」


 ごめんねと言いながら幾ヶ瀬の指が有夏の胸をつつく。


 先端を弾かれ、彼は身を固くした。


「もぉムリ! もぉしない!」


「そぉ?」


 言いながらもう片方の手はおしりに伸びる。


「いくせ?」


「だって、掻き出してあげないと」


 しれっとした感じで言うと、呆れた表情で口を開きかけた有夏の上にドンと体重をかける。


「んん、おもい……。ちょ? ムリだって?」


「大丈夫だって、有夏」


「なにがだいじょぶだよ、幾ヶ瀬ぇ?」


 さっきまでの乱れっぷりが嘘のように呆れ顔を作った有夏であるが、幾ヶ瀬は知っている。


 彼のいいところを指でちょっとなぞれば、何だったら舌先でチロチロ舐めてやれば、途端に崩れてしがみついてくることを。


「いいところ」完

「ここも、いいところ(バカップル攻さんの述懐)」につづく

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