有夏チャンのこっちのおクチはウソがつけない6

 【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】




「お姉のヲタ芸すごいよ? キレッキレ」

 

 有夏も箸を持ったまま、不器用な手つきで両手をあげてみせた。

 

「ご飯中にそんなことしないの!」


「ちぇっ」

 

 有夏は素直に手をおろし、牛丼を一口ずつゆっくりと食べ始める。

 牛丼あるなら、白いご飯っていらなくね? なんて言いながら。


「まぁいいけど。おかずをご飯の上に乗っけてソースとか染ますとおいしいし」

 

「……ごはんよりも肉を食べてね?」

 

「うんうん……ゲップ!」

 

 腹をさすりながら牛丼を食べ進める有夏に気付いて、幾ヶ瀬は現実に立ち戻ったようだ。

 

「有夏、まさかもうシメにかかってない? 駄目だよ。まだこんなに残ってる」

 

 一応すべての料理に手をつけたようだが、どれも半分以上残っている。


「有夏、いっぱい残ってるよ。もっと食べてよ!」

 

 ご飯茶碗に盛られたミニ牛丼は何とか平らげて、有夏が首を振る。

 

「ムリ! もうお腹いっぱい」

 

「駄目だって! もう少し頑張って」

 

 土台、この量を二人でなんて無理な話だ。

 

 好き嫌いはなく何でも食べる有夏だが、食は細い方である。

 

「しょうがねぇよ。隣りのクソビッチにでもやりゃいいじゃねぇの。残飯係として」

 

「やだよっっ!!」

 

 幾ヶ瀬が吠える。

 

「国産牛だよ? 絶対にやるもんか! 有夏に食べてほしくて買ったんだからっ」


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