有夏邸 脱・GM屋敷!13【完】

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「すぐ済むって、そんな……」


 その言い草に幾ヶ瀬は苦笑する。

 

「明日、ちゃんとしよ。ね?」

 

「ホントにぃ?」

 

「有夏がヨくなるように、俺ちゃんと考えてるんだ」

 

「……何?」

 

 一瞬、表情を曇らせた有夏だったが、すぐに気を取り直したようで隙をみては幾ヶ瀬の耳を舐めたり噛んだりして攻めている。

 

 馬鹿だなぁ、有夏チャン──アタシはそう思うわけだな。

 

 ヘンタイメガネのこの言い草。この笑い方。

 

 アタシは浮き浮き……いやいや、嫌な予感しかしないものだ。

 

 いやはや、明日が楽しみで……おっと、メガネが立ち上がったぞ?

 

「パンツ履き替えてからおいで。何だったらシャワー浴びて、少し休んでからでも構わないから」

 

 なんて優し気なことを言いながら。

 

 アタシは物音を立てないよう慌てて有夏邸へ戻る。

 

 さもゴミ袋の口をくくり終わったところですという体を装っていると、メガネが何食わぬ顔して入ってきた。

 

 ジロリと部屋を見渡し、それからアタシを睨んだ。

 

 さっきまで有夏チャンをイカせてた顔とは随分違うな。

 

 何だろうか、これは。

 アタシ、蔑まれてるなって何故だかヒシヒシ感じるよ。

 

「何も片付いてないじゃない。使えない女」

 

「す、すいませんね」

 

 何だろ、コレ。なんかすごく理不尽だ。

 

 あと、有夏チャンのヤツ、ちっとも帰ってこないし。

 

 メガネの監視の隙をついてこっそり見に行ったら、ヤツはベッドに寝っ転がって「磯野磯兵衛物語」の7巻読んで笑ってやがった。

 

 すっごい理不尽だ。

 世の中ってヤツは案外こんなもんなんだなぁ。

 

 

「有夏邸 脱・GM屋敷!」完


13「焦らしたあげく禁断のラブロマンス、なんてプレイを」につづく




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