有夏邸 脱・GM屋敷!8

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「有夏さん、有夏さん? 俺の出勤まであと8時間を切りましたよ? この上、邪魔までする気なの?」

 

「礒兵衛が面白くてつい……」

 

「ほら、雑誌もまとめて古紙に出すから。貸して」

 

「は? やだよ。読んでんのに。それにこれは神回だから永久保存版で……」

 

「今は漫画を読む時間じゃないよね」

 

「う……」

 

「どうせ単行本で買ったんでしょ。雑誌まで買ったら二重の出費で勿体ないじゃない。それにこれ分厚くて場所とるし」

 

「だって雑誌じゃ煽り文句みたいなとか、次回へのヒキの文章とか入ってて、それがたまに神がかってて。それに単行本になるまで待てない……」

 

「はいはい、ちょっとごめんね」

 

 全身を耳にしながらも、おとなしくダンボールをくくっていたアタシの頭上を、よりによってまたぐ形で幾ヶ瀬が玄関へ向かう。

 

「ちょ、どこ行くんだよ!」

 

 有夏チャン、ジャンプを置いて立ち上がった。

 

「紐がなくなりそうだから家から取って来るだけだよ。有夏は待ってて」

 

 有夏チャン、チラッとアタシの方を見て、顔を強張らせた。

 

「あ、有夏も行くっ!」

 




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