中世ヨーロッパの男娼館での営みを妄想シテみる7


「どうかなぁ」

 客の膝の上に跨り、その首に両腕を回した体勢で、アリカは小首を傾げた。

 目元が赤く、それは潤んだ瞳とあいまって目の前の男にとっては耐えがたいであろう色香を放つ。

「ゆ、夕べはどうし……。誰か他の男に抱かれ──……」

「どうかなぁ」

「アリカぁ……」

 早速、翻弄されて喜んでいる幾ヶ瀬に、鼻が触れ合うまで顔を近づける売れっ子。

「抱かれたかもよ? だってソレがアリカのお仕事。でも夕べはアリカもお休みだったかもよ? アリカ、週休5日だもん。どうだったかなー」

 クスッと笑みをこぼすアリカにを目を細めて、幾ヶ瀬が大きく息を吐く。

「有夏、意外と才能がある……」

「は?」

「いや、何でも。てか、週休5日って羨まし……いや、働けよ!」

 気を取り直してイクセが咳払いした。

「アリカ、身体を見せてごらん」

「は?」

「ほら、脱いで。俺に全部見せて」

「何? ヤだよ。脱がないよ」

 守るように身を縮める。そのまま固まってしまった。

「上手くやってたんだから。急に素に戻らないで、有夏。ほら、アリカ、自分で脱いでよ」

「ヤだよ。だっていつも幾ヶ瀬が……」

 これは本気で顔を歪めた。

 何度も何度も身体を重ねている筈なのに、自ら服を脱いだことすらないのか。
 この期に及んでどこまで受け身でいるのやら。

「仕方ないね。ほら、手あげて」

 Tシャツをたくし上げる。
 四国土産らしいのだが、あらゆる種類のうどんが描かれたシャツで、これに関しては色気もクソもない。

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