カラフル6



 静かな寝息だけが聞こえる世界。

 どれくらい時間が経っただろうか。

 ドン。

 パラパラ、ドン。

 ヒュー……ドドン。

 聞き慣れない大きな音に、有夏はゴシゴシ目をこすった。

「なに……?」

 随分長い間寝てしまったらしい。
 部屋の中は真っ暗だ。

「さむ……」

 エアコンを一旦止める。

 人の活動がない為か、室内が異様に冷えてしまっていた。

 テレビの主電源とポットの保温マークに灯る明かりが、やけに眩しく眼球を刺す。

「幾ヶ瀬ぇ……?」

 言ってから気付く。
 奴は今日は帰ってこないのだったと。

 有夏はベッドに起き上がった。

「ゲームのつづき…いや、晩ごはん……先に電気」

 リモコンに手を伸ばしかけた時だ。

 ドン。

 先程からの轟音と共に室内がカラフルな光に照らされた。

 有夏の白い顔を赤や黄、オレンジの透明な光が順番に染めては消える。

 異世界にでも放り込まれたのかと、呆けた表情の有夏。

 続けて響く轟音に、ようやく思い至る。

 花火だ。

 ベランダの扉を開け、バルコニーへ。
 有夏は柵から身を乗り出した。

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