ヘンタイメガネの変態たる所以11【完】






 その夜、有夏チャンも同じことを言っていた。

「今日はブリーチ全巻読もうと思ってたのに。もうあのネカフェ使えないし!」

「有夏ぁ、ごめんって」

 そう言って甘えるメガネを、それはそれは恐ろしい目つきで睨み付ける有夏チャン。

 アタシとしてもこんな騒ぎに巻き込まれて、ひどい目にあったもんだよ。
 せめて……せめて謝ってほしいものなのだが。

 奴ら、アタシの話題すら出しゃしねぇ。

 アタシはあの後、エレベーターの扉が閉まるまでずっとペコペコ頭を下げてたんだぞ?

 何て言っていいか分かんなかったから、無言で頭下げただけなんだけど。

 せめて今夜は濃厚なやつを拝ませてもらおうかと、張り切って覗き穴に目を当てたんだが。

「有夏……」

 ごめんねと肩に触れた手。

 しかし有夏チャン、幾ヶ瀬の手首をつかんで捻りあげる。

「痛ててて」

 悲鳴をあげながらヘンタイメガネ、何だか嬉しそうだ。

 ヘンタイメガネの変態たる所以だな。

 今日はダメだ。ダメな日だ! エロは無いよ!

 待ってたって何も始まんないよ。

 みなさん、ごめんなさい。

 アタシだって濃厚なエロを求めているんだよ!



「ヘンタイメガネの変態たる所以」完

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