おやくそく(7)

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 「だ、だから、ごめ……。有夏? 有夏、落ち着いて」


 幾ヶ瀬の言葉も途切れがちだ。


 ごめんという声が急に裏返ったものだから、有夏は顔をしかめた。

 ようやくその目に怪訝そうな、戸惑いの色が浮かぶ。


 幾ヶ瀬の膝に乗って向かい合わせに座ったまま、有夏は表情を曇らせていた。


 その腰にようやく腕を回してから、幾ヶ瀬は口元を歪める。

 笑いを堪えている顔だと有夏はまだ気付かない。


「だ、だからごめんってば。ちょっと試しに言ってみたら、有夏どうするかなって思ってて……」


「なにが……?」


「ごめんって。てへぺろ」


 今日はエイプリルフールだよンと、幾ヶ瀬は舌をペロリと出した。


 瞬間。

 幾ヶ瀬は頬を張られた。


「イダァッッ!?」


 ガチの平手打ちに悲鳴が迸る。


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