おやくそく(6)

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「アダッ!」


 ガチッと音が鳴り、双方、口を押さえて俯いてしまった。

 歯が激突したのだ。

 かなりの勢いだったから、ジンジンと激しい痛みに有夏ときたら涙ぐんでいる。


「中学生じゃないんだから……」という幾ヶ瀬の言葉を遮ったのは有夏だ。


「なんで有夏が学校行っただけで別れるとか言うんだよッ!」


 拳で涙を拭うと幾ヶ瀬の膝に腰をおとし、おでこを彼の肩に押し付けた。


「ぜったいヤだっ!」


「あ、有夏……?」


 幾ヶ瀬の両手は有夏の腰を持つべきかどうか、オロオロと宙をさ迷っている。


「いっしょって言った! ずっと!」


 叫ぶ声は、最早震えている。

 痛みとは違う感情でうるうると瞳を濡らす、素直な視線が痛くて幾ヶ瀬は咄嗟に顔を伏せた。


「ご、ごめ…有夏……」


「ごめんじゃない! 絶対ヤだし! 別れないしぃ!!」


「おやくそく7」につづく
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