独りのときのテンションたるや6

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  叫ぶや否や、一気に力が抜けたようにへなへなとベッドに座り込む。


「これはダメだ。キメゼリフが甘い……」


 キレが悪いなと意味不明のことを呟いて、有夏は肩で息をする。


「これ以上は無理だ。今ので肩を持っていかれた。でも、もう少し……」


 端正な顔を歪めて、有夏は何だかブツブツ呟いている。

(端正な──というのは、もちろん黙っていればの話だ)


 ──え、嘘? なにこれ……。有夏サン? 頭をどうかされちゃったの?


 徐々に扉を細くしていきながら、幾ヶ瀬。


 自宅なのに、入るに入れない。


 とりあえず有夏が何かやっているのは分かる。


 遊びなのか、計り知れない意図があるのか──。


 もう少し様子を見ようと、5センチほどの隙間を覗き込んだその時。


 ガチャン。


「あっ!」


 キーチェーンが大きな音を立てた。


 有夏がはっとこちらを振り向く気配。


「独りのときのテンションたるや7」につづく PR

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