独りのときのテンションたるや5

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 声が掠れてしまって、室内にまで届かない。


 玄関から向こう──短い廊下と部屋の間の扉が開け放たれているせいで、室内が丸見えだ。


 コタツが見える──だが、その中に有夏はいなかった。


「セイッ!」


 ──なにやってんの? え? てか、なにやってんのかな?


 ベッドの上に立ち尽くす有夏は……何というか、変な感じだった。


 朝と同じパジャマを着たまま、ベッドに仁王立ち。

 何やらポーズを決めているのか?


 そうかと思うと、勢いをつけてベッドに倒れ込む。

 スプリングの力を使い跳ねた。


 そのまま腕をのばして天井にタッチ。

 空中で前転するように、くるりと半回転し、今度はベッドに両手をつける。


 直後、両足に力を込めてピョンと床に降り立った。


「国民全員1人1円くれたらそれだけで1億円!」


「独りのときのテンションたるや6」につづく

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