魔法のアイテム9

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「有夏、起きて。ご飯食べるよ」


「んぁー……」


「有夏! 寝ちゃうよ?」


「寝ないって……あったかー。一生ここから出たくない……」


 ダメ人間の発言にも幾ヶ瀬は寛容だ。


「じゃあ寝てていいよ。俺が口移しで食べさせてあげるから」


「いく……」


 想像して顔を赤らめるかと思いきや、有夏は途端に笑い出す。


「口うつしって……ペンギンの親子かよ!」


「ペン……っ」


 馬鹿笑いされて、幾ヶ瀬もさすがにムッとしたようだ。黙り込んでしまった。


「やれやれ。めんどくせぇ」


 のそのそとコタツから出る有夏。


 ズルルと這うように幾ヶ瀬の元へにじり寄ると、その胸に身をあずけた。

 幾ヶ瀬の喉元に顔を擦り付ける。


「ここもあったかいから、けっこう好きなんだけどな」

「魔法のアイテム10」【完】につづく

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