魔法のアイテム3

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「面倒臭くないよ。コンセント抜くだけでしょ。待機電力ってのを知らないの?」


「また始まっ……」


「何?」


「や、べつに……」


 一瞬の沈黙。


 気を取り直したように、幾ヶ瀬は続けた。


「テレビつけてなくても、コンセントに繋いでるだけで電力を喰うんだよ? ついてないテレビにお金払うって損でしょ」


 そんなたいして変わんねぇよという小声を聞き咎めたのだろう。

 幾ヶ瀬が有夏の手からゲーム機を奪った。


「ちょー、いくせ?」


「いい? 考えてよ。有夏が好きなビスコだって1円足りなきゃ買えないんだよ? 1円を笑う者は1円に泣くんだよ?」


「でた、名言」


 有夏っ、と怒鳴られて彼は肩を竦めた。

「魔法のアイテム4」につづく

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