魔法のアイテム8

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 冷凍室からラップに包んだご飯を2つ取り出して茶碗に移してから、レンジの分数を有夏に指示する。


 自身は部屋のクローゼットを開けて、上の棚から大きな布を引きずり出した。


 座卓の天板を外すとそれを被せ、また天板を戻す。


 最後にコードをコンセントに刺した。


「ウソ、コタツ!? うひょー!」


 有夏が頭からもぐりこむ。


「早く早く! スイッチ!」


 頼んだレンチンをすっかり忘れていることに苦笑しながらも、幾ヶ瀬はこたつの電源を入れてやった。


「はいはい、すぐにご飯持ってくるからね」


 本当は掃除機をかけてからコタツに模様替えをしたかったんだけど、まぁいいかと独り言。


 野菜と鮭のソテーを皿に入れて戻ると、有夏はトロリと表情を緩ませて首元までコタツの中に入り込んでいた。


 さして大きくない卓なのだが、反対側から足が出ていないのは中で身体を折り曲げているに違いない。


「あったかー。コタツって冬の魔法だ……」


 苦笑しつつ、ご飯とお茶を運んできて幾ヶ瀬も腰を下ろした。

「魔法のアイテム8」につづく

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