【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】
「こんなとこで……最悪だ。足痛いし、シチューは冷めるし。あぁ? こんなこと、前もなかった?」
そうだっけと返して、幾ヶ瀬は白々しく笑う。
「ごめん、有夏のナカに出しちゃった」
「またぁ!?」
顔をあげた有夏は、そこに信じられないものを見る。
「……幾ヶ瀬?」
「ごめんって。ちゃんと掻き出してあげるから」
「……なにそれ」
幾ヶ瀬の右手は有夏の腰に回されている。
左手は有夏の胸元で、何故だかマグカップを握り締めていた。
中には、何とも言えない白い液体が。
有夏の上気した額がマグカップを視界に捉えた瞬間、青白く変色する。
「すごく聞きたくないんだけど……ソレって」
「いや、だって有夏が出すの困ってたから。咄嗟に?」
別に拭けば良いだけだし、好きなだけ出してくれて構わないのにね。
なんて笑う幾ヶ瀬を、おぞましいものでも見るかのように一瞥して、有夏はじりじりと距離をとる。
「有夏?」
「幾ヶ瀬、キモイ……てか、気持ち悪い」
キッチンならではとでもいえば良いのか?
有夏が出したモノを、幾ヶ瀬はしっかりマグカップに受け止めていたのだ。
「もう俺さ、夕食の時に呑もうかな、コレ……なんてさ。アッハハ!」
「………………」
「有夏のDNAが俺の内部に入って血となり肉となる……ああっ!」
「………………」
「有夏?」
乱れた服装をしっかり直して、後ずさりしながらキッチンを出て行く有夏。
シチューもう一回温め直すね。ごはんにしよとの言葉にフルフルと首を振る。
「有夏、食欲失せたわ。とくに今、シチューとか……見たくない……うう」
その強張った視線に、幾ヶ瀬は改めて己の姿を見下ろしてみる。
全裸でキッチン。手には精液の入ったマグカップを握り締めている。
「あ……」
有夏が引いているのが、ようやく理解できたようだった。
試しにヘラッと笑ってみると、恋人は化け物でも見るような目つきでこちらを見やる。
「こいつ、心底気持ち悪い……」
「で、ですよねぇ……」
しばらく幾ヶ瀬家に、会話は生まれなかった。
「かきまぜる行為」完
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