ランチ休憩に、蜜6【完】


 フルフルと首を振る彼を、この至近距離から愛おし気に見つめる。

「違わないでしょ。有夏、俺のこと好き? あっ……ふふっ、凄い。今、有夏のナカ……俺の咥えて奥に引きずり込もうとしてる……」

「がっ、あ……うぅ」

 必死に息を詰めて。
 今、口を開けばはしたない嬌声が迸るであろうから。

「ね、自分で分からないの? こんなに……俺の、締め付けて……んっ!」

 ゆっくりと腰を引いて、それから激しく奥を貫く──繰り返していた動きが、徐々にスピードを増していく。

「あっ、あっ……んあっ」

 もうどちらの喘ぎ声か分からない。

 互いの腰の動きと共にいやらしい音が大きくなる。

「んあぁっ、いく……せっ……」

 先に有夏が崩れた。

 全身をビクリと震わせて、白濁液を幾ヶ瀬の腹に撒き散らす。

「あ、有夏、そんな締めたらっ、俺っも……」

 反射的に腰を引こうとした幾ヶ瀬だが、力の抜けた身体は言うことをきいてくれない。

 ビクビクと腿の筋肉を引きつらせて、そのまま果てる。



 荒い呼吸の下、何度も唇を合わせて。

 ベッドと座卓の間の狭いスペースに重なって横たわる。

「はぁっ……駄目だ。有夏、起きて。昼ご飯」

「ひるぅ……?」

 のろのろと起き上がった幾ヶ瀬が、置時計を見て慌て出す。

「ヤバイ! 俺、昼休憩終わる! 有夏、ごめん。食べといて」

「は? 幾ヶ瀬?」

 急に覚醒した様子で、ズボンをずりあげながら玄関へ。

「幾ヶ瀬? ちょ……どうすんだよ、コレ」

 ごめん、の一言で幾ヶ瀬は出て行った。

 残された有夏はポカンと玄関の扉を見やる。

「って……台無しじゃねぇか。ほったらかしとか、アリかよ、こんな……」

 吐き捨てるように呟く。

 だって腹は精液でベトベト。
 床も汚れているし、腰は痛い。
 あげく鍋は冷めてるわ。

「何コレ、ヤリ逃げ?」

 有夏はもう一度扉を睨む。

「クッソ」

 今度はもっともっとってせがんで、絶対腰砕けにしてやる。

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