正月気分2

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  その様を見て、さらに有夏が笑い声をあげる。


「有夏……」


「なに?」


「……Tシャツじゃなくジャージを着ているのは評価するよ。季節感は大事だよね」


「お、おぅ?」


 予想外のコメントだったのだろう。

 有夏が大きく目を見開く。


 正月早々、服装をほめられたなんて喜んではいられない。

 なぜならこれは高校ジャージだからだ。


「幾ヶ瀬、どした? ちょっとは正月気分を楽しみなよ」


 口の中の菓子を飲みこみながら、有夏が今更ながらキャラメルコーンの袋を座卓に乗せた。


「新年早々、掃除なんていいだろ。年末に大掃除したんだし……」


「そうだね。31日は店も休みだったから、丸一日かけて家中きれいにしたもんね」


 そう。狭いこの部屋も、キッチンも風呂場もトイレも完璧に磨かれている。

「うんうん」と頷く有夏。したり顔だ。


 幾ヶ瀬の眼鏡がキラーンと光った。

 こめかみに青筋がビシッと浮かぶ。

「正月気分3」につづく


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