ここも、いいところ(バカップル攻さんの述懐)4

 【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】



「こ、この上、有夏にスペシャルな要素が加わったりしたら大変だよ! 大統領になっちゃうかもしれないよ?」


「はぁ……?」


「いやだ、有夏が大統領になったらどうしよう」


「どうしようって、お前がどうしようだよ。大統領とか中世ヨーロッパとか、ほんと訳の分かんねぇ奴だな」


「大統領にならない?」


「ならないんじゃないかな」


「じゃあ、中世ヨーロッパにならない?」


「……ちょっと意味が分かんないかな」


 呆れたような口調だが、意外と声は柔らかい。

 腰に手を回すと有夏はクスクス笑い出した。


「人のことより自分のこと考えろよ。心霊系ユーチューバーになる夢はどこに行ったんだよ」


「そ、それは……」


 人のことより自分のことを考えろ──そっくり返してやりたい言葉だが、幾ヶ瀬はぐっと飲みこむ。


 窓から射しこむ弱い青の光の中で、有夏が穏やかに笑っているから。


「いいかんじの心霊トンネルを見つけたって言ってたじゃねぇか。あれは?」


「……トンネルはちょっと。怖すぎるかなと思って」


「ここも、いいところ(バカップル攻さんの述懐)5」【完】につづく



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