ここも、いいところ(バカップル攻さんの述懐)2

【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】



「だから何なの、有夏。俺なんかした?」


 笑い声が途切れる。


「何かしたって……なに言ってんだよ。いっぱいシタくせによ」


 いかんせん下品な物言いだが、咎める気にはならない。

 ニヤつく有夏と至近距離で視線が絡み合い、幾ヶ瀬はようやく合点がいった。


 思い出し笑いというやつか──先ほどの行為を脳内で反芻しているのか?

 つまり、ヨかったということか。

 そうなると幾ヶ瀬もまた口元がだらしなく緩むのを抑えられない。


「だって、有夏のいいところは分かってるし。ねぇ」


「なに言ってんだよ。どこが何って?」


 有夏が肩を震わせている。


 バカップルという言葉が脳裏に浮かんで、幾ヶ瀬は更におかしさが込みあげるのを自覚した。


 おかしさと、それから愛おしさもあるか。


「そりゃね、有夏のいいところって言ったら……」


 わざと両手の人差し指をツンと伸ばすと、有夏は身をよじった。


「ダメダメダメ! さわっちゃヤだって! 幾ヶ瀬、しつこいからイヤだ。口で!」


「何? 口でするの?」


「ちがうって! 口で言えってば」


 胸元を守るためか、それとも笑いすぎたせいか。

 有夏は寝ころんだまま腹を押さえて背を丸めた。


 お尻のナカでしょ、乳首でしょ、耳でしょ──なんて本当に口にすると、有夏はきっと子どものように笑い転げてベッドから落ちてしまうだろう。


 そうすると痛みで急に機嫌を悪くしてしまうのだ。


 そう、先は読めている。

 勝手な奴だが、そこが有夏の可愛いところなのだ。

「ここも、いいところ(バカップル攻さんの述懐)3」につづく



0 件のコメント:

コメントを投稿