そうだったのか、胡桃沢家2

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 しかし言葉が発せられるより先に、有夏がガタガタ震え出した。


「くる……来るよ!」


「あ、有夏? どうしたの。マナーモードみたいになってるよ?」


 有夏、小刻みに揺れてウーウー唸っている。


 何だか怯えているようだ。


 いつにない様子に、さすがの幾ヶ瀬も訝し気に彼の肩を抱いて部屋に入る。


 ベッドに座らせて温かいミルクを与えると、ようやく有夏の震えは治まった様子。


「来るっ!」


 一言、呟いた。


「な、何が? やめてよ。それ、何かすごく怖いんだけど。まさか稲川先生的なお話なんじゃ……有夏?」

 

「来る来る来る……クルッ!」


 マナーモード、再び。


 くるくる来る来る呟いて、また震え出した。


 振動を止めるように抱きしめると、素直に頬を寄せてくる。



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