不毛な目覚め。幾ヶ瀬は悟った。そんな朝。(4)

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 時刻は8時40分になろうとしていた。


 自分だって洗濯機を回して、朝食の支度をしなくてはならない頃合いだ。

 貴重な睡眠時間を削って、無駄な労力を費やしてしまった。


 どうせ無駄に終わるんなら、自分も寝てりゃ良かった。

 朝から物凄く不毛な時間を過ごした気がする。


 有夏を起こす──それはまるで人生のようだと、幾ヶ瀬は思った。


 すべて無駄なようでいて、とても大事なことのような気がする。


 意味のないことのようで、でも必要な行為とも思えてしまえる。


 よく分からないけど、懸命に取り組んでしまう。


 有夏を起こす──そう、それはまるで人生のようだと、幾ヶ瀬は悟ったのだ。


「スベテガ無意味ダ。デモスベテガ素晴ラシイ……」


 そう。幾ヶ瀬は悟ったのだ。


 しかし呟いた幾ヶ瀬の鼻を、次の瞬間、衝撃が襲う。


「ア痛ァッ!?」


 有夏の平手が顔面を掠め、幾ヶ瀬の鼻を叩いたのだ。


「痛た……。あっ、起きた?」


 ベッドに上体を起こした有夏、ぼんやりと両手を振り回している。

 「うーん」と、伸びでもしているつもりだろうか。


「不毛な目覚め。幾ヶ瀬は悟った。そんな朝。5」につづく

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