冬のあさ2

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 言いたかったのだ。

 いつか言ってやると決めていた「アホりかさん」──反応がないことにホッとする反面、少々物足りない思いも。


「まぁ無理だよな。6時に有夏が起きるわけないか」


 「アホりか」と何度名前を呼ぼうが壁を向いた姿勢のまま、すやすや眠っている。


 幾ヶ瀬は恋人を起こすことを諦めた。


 どうせ遅くまでゲームをしていたのだろう。

 それでなくとも引きこもり代表・有夏がこんな朝早くに目を覚ますはずがない。


「雪かぁ。寒いわけだよね。そういや夕べから空気が冷たくって……ねー……」


 ベッドに腰かけ、有夏の髪に指を絡める。


 周囲はシンと静まり返っていた。

 平日の朝の慌ただしさを、雪景色が呑み込んでしまったようだ。





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