お風呂をめぐるあれこれ(表)(14)

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 「ちょっと? 有夏、服…」


「小学校ん時なかった? 服のままプールに入るってやつ」


 急に何を言い出すのだというところだが、彼の気まぐれには幾ヶ瀬も慣れているのだろう。


「ああ、着衣水泳でしょ。授業であったね。溺れた時の練習みたいな」


「あれは気持ち良かった。服で入っちゃダメなのに、今日は入っちゃうぞって。いけないのに入っちゃうぞ的な」


「何それ、背徳感ってやつ?」


「うん。それ」


「だからってお風呂は駄目でしょ、服のままって。誰が掃除すると…誰が洗濯すると……」


「うるっせ。やー、もうあったかいし。これはこれで」


「しょうがないな…」


 Tシャツの裾から幾ヶ瀬の手が侵入し、薄い腹をさする。


 徐々に上に這い上がってくるそれを手首を捻りあげて止めると、有夏は少々不満気な様子である。


「オバケが怖いんじゃなかったのかよ」


 散々怖がっていた幾ヶ瀬なのに、急におとなしくなったかと思いきや、まさかシャワーを構えて臨戦態勢を整えていたなんて、有夏としては面白くなかったのだろう。


「お風呂をめぐるあれこれ(表)(15)」につづく

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