こわい☆みかん(11)

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 「幾ヶ瀬? だいじょうぶ?」


 少し離れた位置から菜箸の先でつついてくる有夏に、幾ヶ瀬は晴れやかな笑顔を見せた。


「食べようよ。みかんの皮まで、何もかも!」


 憑き物が落ちたような清々しい表情で、鍋に湯を沸かし始めた。


「よし。マーマレードにするぞ。早い方がいいよね」


「みかんの皮を食べる? しかもこの時間から?」


 珍しくまともな反応を返す有夏だが、残念ながら幾ヶ瀬には届いちゃいない。


 鼻歌を歌いながらかなり本格派のフードプロセッサーを取り出している。


「有夏がくれたビッグのお金で買っちゃった。前から欲しかったんだよね。骨まで粉砕できる超強力フードプロセッサー」


 これはスイッチが入ってしまったか。

 乾燥した皮はお茶にするといいね。風邪予防にもなるねと、聞かれてもいないのに説明を始めた。


「ああ、早くフードプロサッサーを使いたい。早く回したい。スイッチ入れたい。みかんの皮が粉砕されてくとこ見たい」


「みかんの皮を食べる? しかもこの時間から?」


 有夏の問いかけは、今回も無視された。


「こわい☆みかん12」につづく


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