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「だって、おいしいんだもん」
「だもんって……」
スーパーにみかんが並び出したのは二カ月ほど前のことである。
まだまだ皮が緑色で剥きづらく、甘みよりも酸味が強かったあの頃から、すでに有夏はみかん星人と化していた。
おいしいおいしいと連呼して、家中のみかんを喰らい尽くす。
次第に皮の色がオレンジに変じ、甘みが増していくこの時期。
スーパーでは小袋はもちろん、箱売りもするようになってきた。
もちろん箱のほうが幾分お得である。
お得大好きな幾ヶ瀬は当然三キロの箱を購入した。
数日前のことだ。
しかしその箱は、すでに底が見えようとしている。
食べるスピードが早すぎるのである。
家中のみかんを食い尽くす気かと一度小言を言ったのだが、有夏に堪えた様子はない。
そもそも自分もみかんを食べながら「みかんの食べすぎだ」と言う幾ヶ瀬の言葉に、何の説得力があろうか。
「こわい☆みかん4」につづく
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