こわい☆みかん(3)

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 「だって、おいしいんだもん」


「だもんって……」


 スーパーにみかんが並び出したのは二カ月ほど前のことである。

 まだまだ皮が緑色で剥きづらく、甘みよりも酸味が強かったあの頃から、すでに有夏はみかん星人と化していた。


 おいしいおいしいと連呼して、家中のみかんを喰らい尽くす。


 次第に皮の色がオレンジに変じ、甘みが増していくこの時期。

 スーパーでは小袋はもちろん、箱売りもするようになってきた。

 もちろん箱のほうが幾分お得である。


 お得大好きな幾ヶ瀬は当然三キロの箱を購入した。

 数日前のことだ。


 しかしその箱は、すでに底が見えようとしている。

 食べるスピードが早すぎるのである。


 家中のみかんを食い尽くす気かと一度小言を言ったのだが、有夏に堪えた様子はない。

 そもそも自分もみかんを食べながら「みかんの食べすぎだ」と言う幾ヶ瀬の言葉に、何の説得力があろうか。


「こわい☆みかん4」につづく
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