にんげんだもの(6)

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 にやりという有夏の表情が一瞬怪訝なものに変わったのは、幾ヶ瀬の反応が予想と違ったからに他ならない。

 が、すぐに気を取り直したか、有夏の視線は手元の「紙」に落ちる。


 グリーンの横長の紙は紙幣と同じくらいのサイズだ。

 濃い黒のインクで印字してあるのは──いくつかの数字、それから「BIG」というアルファベット。

 言わずと知れたスポーツくじである。

 1等賞金6億円という夢のサッカーくじなのである。


 幾ヶ瀬が息を呑む「ヒュッ」という音。


「今週のジャンプ買いに行ったとき、いっしょに買ったんだ。もう…どうしよう。もうすぐ終わりそう。最終回に向けてまっしぐらって感じ!」


「えっ、えっ、何の話? まさか有夏、この状況で漫画の話してるのっ!? 嘘でしょ、ちょっ……」


「だって、何年追ってると思ってんだよ。第1話から名作を予感して……」


「そんなのいいからぁぁ!」


「そんなの?」


「いや、知ってます。何の漫画か知らないけど名作なんですよね。知ってますぅ。とにかくその話はあとで聞くからぁぁ!」


「何のマンガか知らないのに、知ってますぅってどういうこと?」


「それは……」


「にんげんだもの7」につづく
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