【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】
「ぜぇっ……はぁっ……」
見下ろすベッドには、うっすら微笑んで眠りにつく青年が。
やけに小ぎれいな顔立ちで「スヤスヤ」なんて擬音が溢れていそうだ。
「有夏……こいつ……」
目元をビクビク痙攣させて、物騒な気を垂れ流す幾ヶ瀬とは対照的である。
童話の中で眠っているのは大抵が姫だが、こんな王子がいてもおかしくないと(なまじツラが良いものだから)思わせる印象なのだが。
だが、この王子はタチが悪い。
「ぜぇぜぇ……いい加減にしろよ。絶対に起こしてって言ったよね。ねぇ、8時には絶対に起こしてって。今、半なんだけど!?」
──スヤスヤ。
「半時間ほど叫び続けてるんだけど、俺!? 朝から喉がつぶれちゃったんだけど!?」
嫌だ嫌だ。
今日はランチの時間、ホールに出なきゃなんないのに。
すでに声ガラガラってどうしたらいいの、なんてブツブツ言っている。
──スヤスヤ。
それでも表情を崩さず眠りについたままの恋人。
心地よさげな寝息が規則正しく聞こえてくる。
「……ひょっとして、有夏、起きてるんじゃないの?」
あまりに起きないものだから、幾ヶ瀬がふとそんな気になったのも無理はないだろう。
「今から3秒以内に目ぇ覚まさないと、フライパンで頭殴るよ? さーん、にー、いーち……」
「不毛な目覚め。幾ヶ瀬は悟った。そんな朝。3」につづく
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